ブログ運営をAIに任せてみたら、人間の仕事は意外と残った話|自動化と手動の境界線
前回までで、サイトの構築と計測基盤の話をした。ここまで読むと「じゃあこのサイト、もうほぼ全部AIがやってるんじゃないの?」と思うかもしれない。実際、記事を書くのも、サイトを組み立てる(ビルドする)のも、公開する(デプロイする)のもAI(Claude Code)がコマンド一つでこなしている。
ただ、「全部自動化」を目指しているわけではない。今回は、実際にどこまでを機械に任せて、どこから先を自分の手でやっているか、その境界線の話を書く。
自動化した領域
まず、実際にAIに任せている作業を並べてみる。
- 記事の執筆(Markdownファイルを直接書く)
- サイトのビルド(
npm run build)とCloudflare Pagesへのデプロイ(npx wrangler pages deploy) - Google Analytics(GA4)のタグ埋め込み・BigQueryとの連携設定
- Looker Studio(Googleのダッシュボードツール)でのグラフ作成
- A8.net(アフィリエイトの管理会社)の実績を記録するスプレッドシートの作成・更新
これらに共通するのは、間違えてもやり直しがきくという点だ。記事の文章が気に入らなければ直せばいいし、デプロイし直せば数秒で反映される。ダッシュボードのグラフ配置を間違えても、消してもう一度置き直せばいい。
あえて手動にした領域
一方で、以下は今のところ全部自分(人間)でやっている。
- ドメイン(
getcclab.com)の購入・決済 - A8.netの会員登録時の銀行口座情報の入力
- Googleアカウントのログイン・パスワード入力・「このアプリにアクセスを許可しますか」への同意クリック
- 記事を本番公開する直前の最終確認(「このまま公開していいですか?」に対する「はい」の返事)
こちらに共通するのは、お金が動く・個人情報や認証情報を扱う・後から取り消しにくいという点だ。ドメインの決済やアフィリエイトの銀行口座登録を間違えたら、単純に直せば済む話ではない。パスワードの入力を機械任せにするのは、そもそもセキュリティの観点で避けるべきことだ。
正直に言うと、「記事を公開する直前の最終確認」だけは、最初から徹底できていたわけではない。運用を始めた初期に、記事を2本、確認なしでそのまま公開してしまったことがあった。幸い内容自体に問題はなかったが、「見せてから公開してほしかった」という話になり、それ以降はローカルで組み立てる(ビルドする)ところまでは確認なしで進めていいが、本番に反映する(デプロイする)前には必ず内容を見せて了承を取る、というルールに変えた。
線引きの基準は「取り消せるかどうか」
並べてみると、境界線の基準は割とシンプルだ。
後から取り消せる作業はAIに、取り消せない・お金や個人情報が絡む作業は人間に。
デプロイをやり直すのに数秒しかかからないサイトの更新と、決済や口座情報の入力は、失敗したときの重みがまるで違う。この非対称性が、そのまま「どこまで自動化するか」の判断基準になっている。
実際に自動化がはみ出した話
境界線を引いていても、想定外のことは起きる。
前回の記事を書き終えたあと、公開前にローカルで見た目を確認しようとした。ところが、サイトを組み立てる(ビルドする)コマンドは、ローカルで実行してもGA4のタグを「本番用」の設定のまま動かしてしまう仕様だった。結果、まだ公開していないはずの記事のページビューが、うっかり本番のGA4に2件だけ記録されてしまった。
実害はほとんどない(未公開記事に2アクセスが混ざっただけ)が、「確認のつもりが本番データに影響していた」という点では、地味に象徴的な出来事だった。境界線を引いたつもりでも、その境界の内側(ローカル環境)だと思っていた場所が、実は本番とつながっていた、というオチだ。以後、確認だけしたいときは本番相当の組み立てコマンドではなく、開発用のコマンド(GAタグが動かないモード)を使うようにしている。
まとめ
「AIに全部任せる」は聞こえはいいが、実際にやってみると、お金・個人情報・後戻りできない操作のあたりは、結局人間が握っていた方が安全だし、実際その方が早い。境界線を引く基準さえ決めてしまえば、あとは機械的に判断できる。
次は、この境界線の話とも少しつながる、サイトを作った本当の動機の話を書こうと思う。