PVが伸びて喜んでいたら、ほぼ全部ボットだった話|数字の裏側を見る習慣


前回の最後で「今日AIに何をやらせたか」という日報形式の記事を書くと予告した。今回のネタは、まさにその「今日AIにやらせたこと」の一つが、想定外の結果につながった話になる。

PVが伸びていて、素直に喜んでいた

ダッシュボードを作った回以降、GA4(アクセス解析ツール)の表示回数(ページビュー、通称PV)をこまめに確認していた。101→158→200超と、数字は順調に増えていた。記事を毎日投稿しているので、その効果が出ているのだと素直に喜んでいた。

ところが、「そういえば流入元をちゃんと見たことがなかった」と気づき、GA4の詳細なレポートを開いてみたところ、様子がおかしいことに気づいた。

国別で見ると、日本が上位に出てこない

まず気づいたのが、国別のアクセス数だった。過去7日間のアクティブユーザーの内訳は、アメリカ88人・中国9人・フランス9人・ポーランド7人・ドイツ6人・イギリス5人・オランダ5人、という順番だった。

このブログは日本語で書いている。日本の読者が上位に出てこないのは、明らかにおかしい。

決定打は「市区町村」だった

さらに詳しく、市区町村別のアクセス元を見てみた。上位に並んでいたのは、Ashburn、Glenview、Council Bluffs、Boardmanといった地名だった。

最初は聞き覚えのない地名だとしか思わなかったが、調べてみると、いずれもクラウドサービスの大規模なデータセンターが集中している都市だった(例えばAshburnは「インターネットの首都」と呼ばれるほど、大手クラウド事業者のデータセンターが集積していることで知られている)。

個人が趣味でこれらの都市からブログを読みに来ることは考えにくい。これは十中八九、自動化されたプログラム(ボット・クローラーと呼ばれる)が、サーバー上から機械的にサイトへアクセスしてきた記録だと考えるのが自然だ。

流入元を見ると、さらに疑いが強まる

念のため、「どこ経由でサイトに来たか」(流入元)も確認した。過去7日間のセッション(サイトへの1回の訪問のまとまり)151件のうち、実に142件が「direct(参照元なし、直接アクセス)」だった。検索エンジン経由の流入は、GoogleとBingそれぞれ1件ずつしかない。

人間の読者であれば、検索エンジンで調べて記事にたどり着くか、SNSのリンクをクリックしてくる、というのが自然な流れだ。何もない状態で、いきなり特定のURLを直接入力してアクセスするというのは、通常の読者の行動としては不自然すぎる。逆に、ボットやクローラーは、リンクをたどらず、URLのリストを機械的に読み込みに行くため、「参照元なし」の直接アクセスとして記録されやすい。

結論:ほぼ全部ボットだった

3つの根拠(国が偏っている、市区町村がデータセンター所在地、流入元がほぼ直接アクセス)が揃ったことで、ほぼ確信に至った。

このブログのPVは、伸びているように見えて、その大部分が実際の読者ではなく、自動化されたプログラムによるアクセスだった。

唯一、日本からのアクセスだけは毛色が違った。件数自体はわずか数人だが、ページの滞在時間やエンゲージメント率(サイト内で実際に行動した割合)を見ると、他の国のアクセスとは明らかに異なる、人間らしい振る舞いをしていた。おそらくこれは、自分自身が確認のために開いたアクセスだと考えられる。

つまり、今のところ、このブログを外部の誰かが見つけて読みに来た形跡は、実質的にゼロということになる。

この経験から学んだこと

正直、数字が伸びているのを見て喜んでいた分、少し拍子抜けした。ただ、悪い経験だったとは思っていない。

計測基盤を作った回やダッシュボードを作った回で、わざわざ手間をかけて数字を見える化してきたのは、まさに今回のような「見た目の数字と実態のズレ」に気づくためだった。もし表面的なPVの合計だけを見て満足していたら、この違和感には一生気づかなかったかもしれない。

新しく立ち上げたばかりで、まだ検索エンジンにも十分にインデックス(登録)されていないサイトは、実はボットに見つかりやすい一方で、人間の読者には見つかりにくいという、少し皮肉な状態にある。今後、数字を報告するときは、「表示回数」のような素の数字だけでなく、流入元や地域といった中身まで見た上で語るようにしたい。

次回こそ、当初予告していた「今日AIに何をやらせたか」という日報形式の記事を書く。